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2025.11.01
地理学科など本学の学生が野外調査で奈良県初記録! 佐保川でミナミテナガエビ を採集しました
全学科共通授業「環境科学 I (一)& II(二)」(担当:地理学科 岩崎敬二教授<動物生態学、保全生物学、生物地理学>)の野外実習で、奈良県初記録となるミナミテナガエビが採集されました。2025年6月4日、奈良市芝辻町を流れる佐保川での野外調査のことです。また、2025年6月18日には、京都府笠置町を流れる木津川での野外調査でも、本種が採集され、京都府を流れる琵琶湖淀川水系での初記録となりました(大阪府では、過去に淀川河口で採集されたことがあるだけです)。
その調査結果と、過去の奈良県および京都府のテナガエビ類の生物地理学的情報をまとめた論文を、本学地理学科4年生の伊藤 迪(いとう ゆう)さんが筆頭著者となって執筆し、2025年12月中旬に「南紀生物」という雑誌で公表されました(※論文は公開準備中です)。
本種は、ハサミのある足が非常に長くなる(よってテナガエビと言います)大型のエビで、川で産卵しますが幼体は川を下って海で育ち、その後また川を遡上して成熟するという一生を送る、淡水と海水を行き来する変わった習性を持つ甲殻類です。


黒潮や対馬海流という暖流の影響を強く受ける海岸に河口を持つ河川に生息していますが、奈良県と京都府太平洋側ではこれまで全く確認されていませんでした。伊藤さんを筆頭とする著者らは、かつては全国一汚れた一級河川と言われた大和川水系や、同じく汚濁の激しかった琵琶湖淀川水系の河口から中流に至る広い範囲の水質が改善されたために、本種が奈良市や笠置町まで遡上して生息できるようになったのだろう、と考察しています。
