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史学科のトピックス
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奈良大学文学部史学科への入学おめでとうございます。専門教育教員からお祝いのことばを送ります。

奈良大学文学部史学科への入学おめでとうございます。専門教育教員からお祝いのことば(祝辞)を送ります。

順不同です。奈良大学史学会学生委員が編集してくれました。

新入生への祝辞

足立広明

入学おめでとうございます。
SNS とゲームの仮想空間で育った 21 世紀のみなさんにとって、過去の歴史はどんな 意味があるのでしょうか?一見するともはや意味はないかに見えるかもしれません。しかし、ゲームやアニメのキャラクターの多くは古代や中世の兜や剣を身に帯び、ストー リーも古い年代記や物語に行きつくことがあります。作者がそれらを研究して取り込ん だからでしょう。登場人物もそうで、ナウシカアはホメロス原作『オデュッセイア』の勇気ある若い女性で、ゴリアテはヘブライ語聖書に出てくるペリシテ人の巨人兵です。
それらはもともとどんな文脈で出てくるのでしょう。また、ゲームやアニメそのまま のイメージで受け取ってしまってよいのでしょうか。背景を探るとさまざまな問題があ ぶり出されてきます。今話題の AI も決して無色透明ではなく、現代社会のジェンダー・ バイアスに強く左右されていると言われています。現代社会の提供する便利なツールを ただ消費して 影響されるだけの立場にとどまるのでなく、しっかり勉強してそれらを変 えて未来を切り開くことのできる人になるために歴史を勉強しましょう。

井岡康時

ご入学おめでとう!
皆さんは、今、冒険の旅の入り口に立っています。これから歩んでいく歴史学の森は 深いですよ。道に迷うことのないように声をかけあっていきましょう。
途中にはとてつもなく深い河もあれば、登り切れるのか心配になるような絶壁もあら われてくることでしょう。足がすくんでしまうことのないように励ましあって進みま しょう。課題を一つ一つ乗り越えて心躍る思いをすることも、失敗して苦い思いを味 わうことも、すべて未来の皆さんをしっかりと支える骨や筋肉になるはずです。ゴー ルをめざして、さあ、出発です!

河内将芳

新入生のみなさん
ご入学おめでとうございます。
これから4年間、だれに遠慮することなく、おもいっきり歴史の話をしていきましょう。
そして、学んでいきましょう。
在学生・教員一同、みなさんといっしょに学んでいきたいと思います。
よろしくお願いします。

木下光生

新入生の皆さん、史学科へのご入学、おめでとうございます!
4年間の大学生活は、あっという間に過ぎ去ってしまいます。TikTokやインスタに興じているヒマは、一分、一秒たりとも存在しないので(そんなものは社会に出てからでもたっぷり出来る!)、大学生でいる間は、スマホを叩き割り(あるいは叩き割るつもりで)、その代わりに、超ハイレベルな奈良大図書館で本をたっぷり読んだり、関西の史跡や博物館に行きまくるようにしてください。
歴史学に没頭できる時間は、これからの長い人生で、おそらくこの4年間が、最初で最後の機会となるでしょうから。

高橋博子

入学、おめでとうございます。
奈良大学は「国際的視野に立つ開かれた大学として、地域社会との連帯を深めながら、ひろく人類社会の平和と発展に貢献する」ことを教学の理念としています。史学科には地球を一周できるほど幅広い領域の世界史の教員と、古代から現代までの日本史の教員がいます。史学科で学ぶことで世界的、そして時代を超えた視野で考えることができるようになることと思います。また卒業論文に向けて自分にとって大事なテーマに取り組むこととなります。
大学生活はこれまでの生活と大幅に変わることと思います。そうした中で、さまざまな新しい嬉しい出会いと共に、さまざまな不安なことに出会うことと思います。そうした時、どうか抱え込まないで、さまざまな方法で相談の機会がある、ということを心に留めていてください。みなさんが安心して充実した大学生活が送れるよう、サポートしてゆきたいと思います。
みなさんと奈良大学で歴史の探究ができることを楽しみにしています!

外岡慎一郎

ご入学おめでとうございます。
心から歓迎いたします。
多くの皆さんには最後の学校です。
社会で独り立ちする準備をゆっくり整えてください。

宮本亮一

ご入学おめでとうございます。
いまは,期待,不安,戸惑いなど,様々な感情が交錯していることでしょう。あせる必要はありませんので,少しずつ新しい環境に慣れて下さい。
史学科に入学したのですから,積極的に歴史の勉強に取り組んで頂きたいですが,大学生活は歴史の勉強が全てではありません。語学,スポーツ,歴史以外の勉強,アルバイトなど,少しでも興味のある事は,何でもチャレンジして下さい。挑戦せずに後悔しても何も得られませんが,例え失敗したとしても,挑戦すれば,何か得られるものがあります。人生で,大学の4年間ほど自由に自分の時間を使える時期はありませんよ!
若さという武器を最大限に活用して,大学生活を充実したものとして下さい。これから4年間,みなさんと一緒に勉強できることを楽しみにしています。

村上紀夫

みなさん、ご入学おめでとうございます。入学式では色々な人の挨拶もあって、すでに沢山のお祝いのことばを聞いていると思います。また、入学前後にこれまた沢山の印刷物などを渡されていると思います。そうしたなか、こうして教員からの「祝辞」を渡されたところで、読んでくれるのかどうか......。
実は、この文章を書いているのは3月1日のこと。ちょっと前に卒業生への祝辞を書いたばかりだし、なにを書いていいか思いつきません。そこで、試しにAI(Microsoft:Bing AI)に祝辞を書いてもらってみることにしました。すると、あっという間に次々とそれらしい文章が誕生しました。固有名詞や文章表現などを若干修正し、順番を入れ替えたりして再構成したのが以下のようなものです。

新入生の皆さん、改めて入学おめでとうございます。奈良大学での歴史学の学びを楽しんでください。
奈良は、日本の古都であり、歴史的な遺産が豊富に残されている場所です。奈良には、世界遺産に登録されている東大寺や法隆寺、春日大社や興福寺などの古代寺院や神社があります。奈良には、平城京や飛鳥などの古代都市や遺跡もあります。奈良には、奈良時代や平安時代などの日本の歴史を学ぶために最適な環境があります。
新入生の皆さんは、奈良大学で歴史学を学ぶことになりました。これは、とても幸運なことだと思います。歴史学とは、過去の人々の生活や思想、文化や社会、政治や経済などを研究する学問です。歴史学は、単に事実を暗記するだけではなく、様々な資料や証拠を分析し、批判的に考える力を養うことができます。歴史学は、現在の世界を理解するためにも必要な学問です。新入生の皆さんは、奈良大学で、歴史学の基礎や専門知識を身につけるとともに、歴史的な現場や資料に触れることができます。奈良大学で、歴史学の魅力や楽しさを感じてください。
新入生の皆さんは、奈良大学で素晴らしい大学生活を送ることができます。また、歴史学の学びを通じて、自分の夢や目標に向かって努力することができ、仲間や教員との交流や協力を深めることができます。私は、新入生の皆さんの大学生活が、充実したものになることを願っています。

......どうでしょうか。まあまあな感じの文章です。でも、みなさん、既視感がありませんか?入学式でエライ人がお話しした祝辞って、だいたいこんな感じじゃなかったですか?覚えていない?
----別にオッケーです。全然問題ありません。
そうなんです。AIというのは、ありきたりで誰もが思いつくような答えを出すのは得意です。だから、まあアタリマエのものしか書けないんです。
入学式のエライ人の祝辞を思えていなかった人、正解です。だって、アタリマエのことなら、忘れてしまっても問題ないんですから。これを書いているのは3月1日だと言いましたよね。でもこれは別に予言の書なんかじゃありません。AIが思いつくような文章にちょっと時事ネタでも挟み込めば、まあエライ人の祝辞っぽいものは誰でも書けるというわけです。としたら......エライ人はもしかしたらそんなにエラくないのかもしれない----だって式典で挨拶するだけなら、AIで十分だということになりますよね----ということに気づいてしまうかもしれません。権威や常識を疑うこと、これは学問をする上では、とっても大事なことです。
さて----
それじゃあ、そんなご時世に学問なんかやって何になるんでしょうね。ひとつは、AIが登場したからこそ、自分の頭で考えることに意義があるようになるのではないかということです。
AIというのは、インターネット上の厖大な情報を関連づけ、質問に対して適切である確率の高い「答え」を作成して吐きだしているわけです。要は、機械的な作業をしているだけで、何も考えてないんですね。まあ、おおきな計算機ですから。
今、私たちは大抵のことなら、スマートフォンで調べれば、すぐに答えにたどり着けるような気がします。そういういう作業を厖大なデータを使って高速でやっているのがAIさんなのですね。でも、インターネット上にないような情報は?「適切である確率の高い」答えが、学問の世界では必ずしも「正解」とは限りませんよね。むしろ、学問上の発見は、その時代の常識を揺るがすようなものが多いかもしれません。
とすれば、私たちはインターネット上にないような情報を見つけ出し、情報の選別をし、真偽を確かめて根拠に基づいて、できるかぎり先入観を捨てて自分の頭で考える----これは歴史学の方法論そのものです----そういったことを学問を通して身につけられれば、きっと人間にしかできない仕事が見つけられるでしょう。AIさんが「様々な資料や証拠を分析し、批判的に考える力を養う」といってましたね。今の時代、必要とされるのは、そういった力を養っている人ではないでしょうか。そうそう。もっと大事なことが。AIさんは、質問(プロンプト)に対して答えているだけですよね。今の時代、一番大切なことは、「適切な、かつ答えが出せる問い」を発することなのかもしれません。「問いを立てること」。これこそが学問をするうえで重要なこと。学問に本格的に接するようになれば、きっとわかると思いますが、「問う」ことは、「答える」ことよりもずっと難しいことです。
この奈良大学での4年間で、自分で「問い」を見つけ、しっかり自分の頭でモノを考えられるようになってください。これは一生モノのスキルになりますから。
祝辞らくしくない長文の祝辞もこの辺にしておきます。ありきたりの表現で締めくくっておくことにしましょう。
「新入生の皆さんの大学生活が、充実したものになることを願っています。」

森川正則

新入生への祝辞
皆さん、ご入学おめでとうございます!
入学間もない頃は慣れないことも多々あるかと思いますが、誰しもそうですので、 大学生活に少しずつ慣れていってもらえればと思います。
そして、史学科での歴史の学びだけでなく、サークル活動や遊びなども含めて、楽 しい大学生活となりますよう、祈念しております。

山口育人

ご入学、おめでとうございます。これから4年間、皆さんとともに歴史を学んでゆけることを心から楽しみにしています!
現在、ブームになっているウイスキーというお酒は蒸留酒なのですが、出来立ては無色透明で、アルコール臭が強いものです。皆さんが知っている(?)琥珀色で、風味豊かなウイスキーになってゆくのは、木の樽のなかで数年間蒸留されるからです。同じ時に出来た(蒸留された)ウイスキーであっても、どんな樽に入れられるか、どんな環境で熟成されるか、によってどれ一つとして同じ色・味のものはできません。
皆さんもこれから4年間の大学生活を通して「熟成」してゆきます。味わい深く、豊かな熟成が進むよう学生生活を充実させることを願っていますし、わたしたち教員もそのお手伝いをしたいと思います。

山崎 岳

ご入学おめでとうございます。
東洋史を教えています山崎といいます。
紀元前六世紀に生まれた孔丘という人物は、弟子に対してこのような言葉を残しています。
「学びて時にこれを習う。またよろこばしからずや。」
大学とはこのような場であり、そうありたいと願っています。
何やらわからん、という人も、心配ご無用。
授業で説明しますので、楽しみにしていてください。

渡辺晃宏

奈良大学史学科へようこそ!
新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。みなさんは今日のこの日を、どのような気持ちで迎えたでしょうか?大学生となって、これからは一人前の大人として過ごしていくことになります。期待と不安の入り交じった今の新鮮な気持ちを、どうかいつまでも忘れずにいていただければと思います。
さて、奈良大学の第一印象はいかがでしょうか?大学のある平城山丘陵は、奈良盆地の北端、京都府との境に位置します。高の原駅からバスや徒歩で来た人が多いと思いますので、気付きにくいかも知れませんが、大学からは反対の南側に眺望が開けています。晴れた日には、奈良盆地をはさんで近畿地方の最高峰、大峰山脈の八経ヶ岳(1,915m)に至る山々を望むことができます。また、大学から平城山丘陵を越えて南へ歩けば、1300年前の奈良の都の中心、平城宮跡の一角に到達することができます。つまり、奈良大学は特別史跡で世界遺産でもある平城宮跡の裏山にあるというわけです。
平城宮跡に限らず、言うまでもなく奈良は歴史の宝庫です。日本古代史を志す人はもちろん、中世以降の日本史、西洋史、東洋史を勉強したいと考えている人にとっても、こうした遺跡のすぐ間近で歴史を学べるという環境は、なにものにもかえがたいものです。これから4年間、是非そうした地の利を生かして、歴史の舞台と本物の資料に親しんでいっていただければと思います。
もう一つみなさんにお願いしたいのは、活字に親しんでほしいということです。史学科だからといって歴史の本に限る必要はありません。小説でも、ノンフィクションでも構いませんから、少しでも多くの、できればよい文章に慣れ親しむこと、それがこれからのみなさんの人生にとってどれだけプラスになるか計り知れません。特に専門分野の勉強に専念するようになる前の最初の2年間は、いろいろな分野の本をたくさん読むことをお勧めします。日本語の感覚を磨いて、優れた日本語の書き手になってほしいと思います。さしあたってそれは、4年後の卒業に不可欠な卒論を書く際に、大いに役立つはずです。
終わりに、これから史学科で過ごす4年間の生活が、みなさんにとって実り多いものになることを心からお祈りして、入学のお祝いの言葉とします。

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