文化財学科のトピックス
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研究活動
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2025.09.22
今年も兵庫県新温泉町のお堂の調査をおこないました
夏休み期間を利用して、今年も兵庫県新温泉町湯区にある薬師堂で、格天井板絵などの調査をおこないました。調査は今年で10年目となり、地域の方々との関係もまるで年に一度、親戚に会うみたいです。
今年の調査は、魚島教授のほかに1年生から大学院生まで総勢14名。9月2日から10日までの9日間、いつもどおり、お堂横の公民館に寝泊まりさせていただきながらおこないました。記録のための写真撮影とあわせて、赤外線写真を撮影する「写真撮影班」と、分析装置を使って板絵に使われている絵具の材質を分析する「分析班」とに分かれ、並行しておこないました。

撮影班では、当初はカメラをさわったことすらなかった学生も、3日目くらいになると、手慣れたようすで記録写真が撮れるようになったり、分析班では、分析したいポイントに装置の位置をピタリと合わせるために、みんなが力を合わせてそれぞれの役割を果たして作業をするようすなどが見られました。


はじめて参加した学生たちは、文化財調査の楽しさとともに、地域の人々に愛される文化財をまもっていくことの大切さを知ったようです。複数回目の参加者も、去年とは違った気づきがあったようで、大学での授業だけでは学ぶことができない何かを感じてくれたようです。
地域の方々のご好意で、毎日、温泉施設で入浴させていただくことができるのもこの調査の参加者の特権です。
今回の調査には、地元・新温泉町出身の1年生も参加してくれました。
かつて私たちが調査の一環として中学校でおこなった出前授業を妹が受けたのがきっかけで、自身も奈良大学のオープンキャンパスに来て体験講義を受け、それが入学の決め手となったとのことです。私たちが目標としている文化財をまもるための次世代の育成が芽吹きはじめたことを実感しました。
今年はまた、多くの卒業生が見学に来てくれたことも特筆すべきことでした。この調査に参加した経験のある、今は社会人となった卒業生たちが、旧知の地域の方々と会うために来てくれたり、調査の激励のために駆けつけてくれたりしました。
10年続けていると、いろいろな人のつながりが、だんだんと大きくなっていき、それが文化財をまもる力になっていくんだと言うことを感じた調査でした
【奈良大学文学部文化財学科のモットーは「現地現物主義」です】