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2026.09.07
【解説】2026年9月4日に国際連合総会で採択された「地図の訂正に関する決議」について
2026年9月4日(アメリカ東部時間)の国際連合総会で、「地図の訂正に関する決議:A/80/L.104」が採択されました。この決議には、日本を含む164か国が賛成、1か国(アメリカ合衆国)が反対、6か国(ジョージアなど)が棄権しました。この決議内容について、できるだけわかりやすく解説します。
さて、みなさんがイメージする世界地図は、メルカトル図法(図1)またはミラー図法(図2)がほとんどだと思います。![]()
図1(左):メルカトル図法 図2(右):ミラー図法
メルカトル図法は1569年にベルギーのメルカトル氏が考案した図法で、角度が正しく表示されるため航海用として使われてきました。しかし、面積は正しく表示できません。本来は同じ面積の土地でも低緯度は小さく、高緯度は大きく見えるという特徴があります。またメルカトル図法を改良したミラー図法は、1948年にアメリカのミラー氏が考案した図法で、メルカトル図法で高緯度がかなり大きく表現されてしまう点を、いくぶんか修正した図でした。図1と図2には、円形や楕円形のマル印が入っています。これらは地球上の同じ面積と形を投影していますが、地図上では低緯度は小さく、高緯度は大きく見えることがわかるでしょう。
さて、メルカトル図法(およびミラー図法)は、上述のように「低緯度は小さく見える」という特徴から、アフリカや東南アジアなど低緯度に位置する国が小さく、比較的高緯度にあるヨーロッパ、アメリカ、ロシア、中国が大きく表示されます。このため、世界の多くの人々が「アフリカは小さい」という間違った印象を与えることにつながっていると、アフリカの国々は考えました。そこで、今までの世界地図のイメージをできるだけ損ねないようにしながらも、面積が正しい図法で表示することを求めました。これまでも正積図法はいくつかありましたが、形が美しいロビンソン図法を元にして、(形のゆがみはあるものの)厳密に正しい面積を表せるイコールアース図法が2018年に発明されました。このイコールアース図法は、すでに2018年からNASAや世界銀行で使用されています。今回の国連決議では、世界を表示するときにメルカトル図法で表されている地図を、イコールアース図法に置き換えることがおすすめされています。
図3 イコールアース図法(楕円は地上で同じ面積の円形である)
さて、この国連決議に日本も賛成したことから、法的強制力はないものの、今後置き換えが進む可能性があります。数年後には「世界地図といえばイコールアース図法」という時代がくるのかも知れません。
奈良大学文学部地理学科では、地図を扱うスペシャリストを養成しています。GISはもちろん、このような地図のハンドリングも学生は学ぶことができます。
