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地理学科のトピックス
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GIS勉強会(1年生)のフィールドワーク(2025年11月30日)

2025年度の1年生は、高校で「地理総合」が必修になった最初の学年で、例年以上に積極的に地理の学びを進めている学生が目立つように感じます。2014年から開始したGIS勉強会ですが、今年の1年生はこれまでで最も早い時期から活動を始めています。

奈良県南部で発生した過去の大水害に関するフィールドワークを11月30日におこない、GIS勉強会(1年生)の学生5人が十津川村に行きました。すでに紅葉の時期は過ぎていましたが、暖かい一日でした。

まず、谷瀬(たにぜ)の吊り橋です。十津川の本支流には生活に密着した吊り橋が現在なお60本ほどあり、その1つが観光用にも利用されています。1889年の十津川大水害では、十津川(奈良県内では十津川、三重県に入ると熊野川と名前が変わります)の増水で、現在の谷瀬の吊橋とほぼ同じ高さまで増水したという推定もあり、その水位の高さを実感しました。

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次に、熊野本宮大社に行き、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について学び、熊野川・音無川・岩田川の合流点に千年以上も社殿があった大斉原(おおゆのはら)では1889年の十津川大水害で社殿の多くを流失した現場を見ました。そして、そのすぐ横を流れる熊野川の河原では、河床の礫径を計測する実習を行いました。

その後、折立(おりたち)集落で、2011年に発生した「平成23年紀伊半島大水害」で落橋した折立橋と周囲の地形を見学し、1934(昭和9)年から1958(昭和33)年まで使用された旧折立橋の主塔跡をみました。この場所では、2021年2月23日に訪問した際には、まだ土砂崩れの山肌が見えていましたが、今回は工事が終わっていました。

そして、風屋ダムを訪れ、奈良県南部の気象観測所として知られる気象庁アメダスを見学しました。2021年からアメダスの機材が更新されており、この地点では超音波式の風向風速計になっていました。また(風屋ダムではなく猿谷ダムですが)農業用水が不足する奈良盆地に水をもってくる吉野川分水と、十津川・紀ノ川総合開発事業という国家プロジェクトについて学びました。

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最後に、大塔村の「道の駅」に立ち寄り、この地域の胃薬「だらにすけ」(この粉末がかかっているソフトクリームが売られていました!)や、地元の特産品について見学しました。

今回のメインルートであった国道168号線は、紀伊半島内陸部の活性化を図る「紀伊半島アンカールート」の一部として道路の高規格化(トンネル化や直線化)が進んでいますが、まだ旧来の狭く曲がりくねった道路部分も残っています。参加者の中には車酔いした人もいましたが、奈良にいてもなかなか訪問する機会のない十津川村で、多くのことを学ぶ機会となりました。

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