国文学科のトピックス
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2025.07.01
6月29日、実地見学踏査で長谷寺周辺を巡る!
実地見学踏査(担当:鈴木喬)にて、奈良県桜井市の長谷寺やその周辺を巡りました。
長谷寺(豊山神楽院長谷寺)は、朱鳥元年(686)に道明上人が、天武天皇の銅板法華説相図(千仏多宝仏塔)を西の岡に安置したことを始まりとし(本長谷寺)、縁起によると神亀4年(727)徳道上人が、聖武天皇の勅を奉じて、近江国(現在の滋賀県)高島から流れ出でた霊木を使い、十一面観世音菩薩を作ったと伝えます。
この十一面観世音菩薩のご利益を得ようと、平安時代の貴族たちはこぞって長谷寺を訪れました。
そのため『枕草子』『源氏物語』『更級日記』昔話のわらしべ長者など、さまざまな古典文学の舞台となっています。
そのような信仰の地、文学の故地を歩きながら、文学について学びました。
登廊(重文)清少納言が見た景色
二本の杉(『源氏物語』玉鬘)
定家塚・俊成碑
紀貫之故里の梅
本堂(国宝)
(ちなみに奈良大学大学案内の撮影地ともなっています)
舞台より初瀬の山々を眺める
長谷寺がある「初瀬」は、万葉の時代「隠国(こもりく)の初瀬(はつせ)」とも呼ばれ、万葉集に歌が残っています。
「初瀬」かかる枕詞「こもりくの」は、山に囲まれた奥まった場所を指します。
この地を詠んだ万葉歌はおよそ50首。 長谷寺の舞台から眺める景色は、まさしく万葉集の「隠国の初瀬」そのもの。
・隠国の 初瀬の山に
照る月は 満ち欠けしけり 人の常なき (『万葉集』巻7・1270)
訳](こもりくの)泊瀬の山に、照る月は満ちたり欠けたりするものなのだ。人もまた変わらないものは何も無い。
『万葉集』で歌われる初瀬川(大和川)
・岩走り 激(たぎ)ち流るる
初瀬川 絶ゆることなく またも来て見む(『万葉集』巻6・991)
訳]岩に激しくぶつかり、たぎり流れる泊瀬川が絶えぬように、絶えることなくまた
ここに来て、この景を見よう。
長谷寺は、「花の御寺」と呼ばれ、桜や牡丹など一年を通して様々な花が境内を彩っています。
6月は紫陽花。長谷寺の紫陽花を見に、多くの方が訪れていました。
最後に門前町にて名物の草餅をみんなで食べて帰りました。
とても暑い日となりましたが、学生にとって記憶に残る一日となったはずです。
※記事ならびに画像掲載について長谷寺より許可をいただいています。御礼。