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地理学科のトピックス
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教員の研究紹介(羽佐田紘大講師):沖縄県西表島のマングローブ林を調査してきました。

地理学科講師の羽佐田紘大です。

先日、沖縄県西表島のマングローブ林の現地調査に行ってきました。そこで、大学教員は実際にどういった研究・調査をしているのか、その一例を簡単に紹介したいと思います。

マングローブは、熱帯・亜熱帯の潮間帯(干潟)に生育する樹木の総称で、生物の多様性に富んだ独特な生態系を生み出しています。潮間帯(厳密には潮間帯上半分)という限られた環境下で成立するため、海面変化や地形変化に敏感に反応します。日本には7種類のマングローブが分布していますが、7種類すべて見られるのは西表島だけです。

私は現在、研究分担者(研究代表者と協力しつつ、研究遂行責任を分担して研究活動を行う者)として、ミクロネシア連邦ポンペイ島と西表島のマングローブ林を対象に、地球温暖化に伴う海面上昇に対して表層侵食などの負の影響がどの程度現れるのかを、群落レベルで定量的に明らかにすることを試みています。(多くの大学教員は複数の研究テーマを持っています。私のその他の研究テーマについてはこちらをご覧ください。)こういった規模の大きな研究を一人でやるのは難しく、通常、複数人の研究者と一緒に行います。私は地形学や地理情報システムが専門なので、主にマングローブ域や後背地(集水域)の地形・土地利用解析を担当しています。

今回の調査では、チームで協力しながら、プロット(一定面積の調査地)内の地盤高測量(地面の高さを計測)や毎木調査(樹木の種類・位置・幹の太さ・高さなどを記録)などを実施しました。下の写真がそのときの様子です。

わずかな地形の違いがマングローブの生育や樹種の違いに関係するため、正確な地盤高測量が欠かせません。ポケットコンパス(小型の測量機)を使って計測していきます。

ポケットコンパスを覗き込んで、測りたい地点に設置したスタッフ(標尺:簡単に言えば大きな定規)との高低差を把握していきます。

測高棹(目盛のついた伸び縮みするポール)を樹木の高さに合わせて伸ばし、樹高を測っていきます。併せて、樹種の判別や位置(プロット内のx座標・y座標)の把握、胸高直径の測定なども行います。

継続的な調査によってデータを蓄積し、論文というかたちで公表することを目指しています。

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