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2026.09.13
【教員の研究活動】奈良大学文学部史学科の渡辺晃宏先生(日本古代史)の科研費をもちいた研究活動(研究課題「荷札木簡の総合的分析による律令税制の成立と展開の研究」)を紹介します。
研究課題:荷札木簡の総合的分析による律令税制の成立と展開の研究
研究種目:基盤研究(C) 研究代表者:渡辺晃宏
研究開始時の研究の概要
長屋王家木簡と二条大路木簡によって飛躍的に増加した8世紀の荷札木簡、及び石神遺跡や飛鳥池遺跡の木簡によって実態解明が進んだ7世紀の荷札木簡について、個別にその情報の総合的検討を行う。
これを踏まえ、国ごとに租税貢進の実態を解明し比較検討する。そして、701年の大宝令施行前後における連続・非連続を検証し、既往の文献資料との整合的な解釈を図りながら、律令税制の成立過程とその後の改変について実証的に解明する。そして、中男作物の創始や、専当国司制の導入など、8世紀における税制の改変についても荷札木簡という一次史料から再検討し、文献資料との融合を図っていきたい。
研究実績の概要
8世紀の荷札木簡について、前年度に引き続き基本的な情報の整理・検討を行った。今年度対象としたのは、藤原宮木簡に関する奈良(国立)文化財研究所『藤原宮木簡一』『同二』『同三』『同四』の4冊の正報告書、及び飛鳥・藤原京跡出土木簡に関する同研究所『飛鳥藤原京木簡一』『同二』に掲載されている諸国の荷札木簡である。なお、前年度実施した平城宮・京跡出土木簡についての補足作業も合わせて行った。
作業は前年度と同様に行い、写真図版に基づいて、別冊解説の釈文の確認・再検討を行い、国別に荷札木簡の整理した。確認した情報は、釈文の他に、税目・品目・数量、年代、法量、型式番号(形状)、遺跡名(平城宮における遺跡の性格)、出土遺構名(遺構番号)、出典などで、調・庸・中男作物・贄・白米(舂米)・地子などの税目ごとに整理した。七世紀の荷札については税目表記を整理して今後の検討に備えた。年代の記載のないものについても、木簡及びその他の共伴遺物から推定可能なものはおよその年代把握を行った。
その上で、国ごとの整理、及び国7世紀の荷札木簡と8世紀の荷札木簡の比較を行い、大宝令の施行を境に荷札木簡の内容に変化がないかの確認作業を開始した。比較作業は今年度は東海道・東山道諸国について検討した。
これまで整理・検討した荷札木簡には、一部釈文の再確認が必要と思われるものもある。一部については奈良文化財研究所歴史史料研究室の高配を仰いで、記帳ノートでの確認作業を行わせていただいた(2025年3月実施)。未公表荷札木簡の確認とともに、次年度以降引き続き実施の予定である。
代表的な荷札木簡貢進国の踏査については、2025年3月18日に、特徴的な書式の荷札で贄を貢進する参河国幡豆郡の三河湾三島のうち、篠嶋と比莫嶋(現在の日莫賀島)を訪れ、両島の環境の差異や、時間の関係で今回は訪問できなかった析嶋との位置関係などの知見を得た。
