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飛鳥・藤原研究関連文献目録(稿)
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飛鳥・藤原研究関連文献目録(稿)
(令和4 (2022)年度奈良大学研究助成( 奈良を中心とする研究)『飛鳥・藤原地域における歴史遺産の基礎研究』)研究成果
21世紀を迎え、多くの変革の時代を迎えている今日、飛鳥・藤原地域も大きな変革の渦の中にある。文化財の調査研究や文化財行政も例外ではなく、多くの課題を抱え、変化を要求されてきた。飛鳥・藤原地域の地下には、飛鳥文化が花開いた歴史が刻まれており、地上には歴史的風土と呼ばれる景観が広がっている。これらは古都保存法及び明日香村特別措置法・景観法・風致条例等によって守られてきたが、飛鳥文化の解明と共に、これら
の文化遺産を次の世代へと正しく伝えることも、我々に課せられた大きな責務である。
この飛鳥・藤原地域の考古学的な解明は、昭和8年の石舞台古墳の調査にはじまり、昭和31年以降は飛鳥寺跡・川原寺跡・飛鳥宮跡をはじめ、継続的で本格的な発掘調査が進め
られてきた。その成果は新たな事実を次々と提示し、日本国誕生の歴史を証明してきた。筆者は以前に飛鳥・藤原地域の発掘調査の歴史を振り返る簡単な図録を作成したことがある。その中で、近年の発掘調査成果については目を見張るものがあることを改めて痛感し
た。研究史を整理することは、現在の研究の到達点を確認することであり、次の研究への課題を明確にし、確かなステップとするものであると同時に、現在、世界遺産登録を目指
している「飛鳥・藤原」の基礎に位置づけられる。
このように飛鳥・藤原研究の歴史は長く、さらに関連諸分野は極めて広範囲にわたる。これらを総合的・網羅的に簡要にまとめるのは困難で、その基礎となる研究文献の収集や
目録すら整っていないのが現状である。これらの研究成果を十分に把握できていないことが、研究の妨げの一因となっている。そこで「飛鳥・藤原研究関連文献目録」の整備・公
開が、飛鳥・藤原研究の基礎資料になると考える。
本目録で扱う地域は飛鳥文化の中心ということもあり、飛鳥を中心として藤原京地域までのエリアを設定する。現在の行政区では明日香村と高取町・橿原市・桜井市の一部とい
うことになろう。その研究領域は考古学の分野が主流をなすが、史料学・文学・地理学などの関連諸分野の研究も網羅し、文化財保存や文化財行政についても含めることにした。
時代設定は飛鳥文化、つまり7世紀を中心とするが、それ以前・以降についても可能な限り含めることとした。
本書では脱漏も多いと考えるので、今回は(稿)として刊行し、将来に期したいと考える。文献目録のさらなる充実に向けて、脱漏文献のご教示、ご指導をお願いする次第である。
令和5年(2023)3月
研究代表者 相原嘉之