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奈良大学博物館
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太田古朴が見た山里の文化財―高野山麓・細川八坂神社の仮面群―

 太田古朴(おおたこぼく)は、大正3年(1914)吉野町に生まれ、新納忠之介が院長を務めた奈良美術院で仏像修理を学び、その後独力で各地の仏像や石造物を調査して、修理や研究を行いました。それらの成果は雑誌『史迹と美術』誌上や綜芸社から発行した多数の著書で発表しています。
 平成12年(2000)の逝去の後、残された仏像修理に関わる資料が鈴木喜博氏(奈良国立博物館名誉館員、本展協力者)により見いだされ、一部が令和2年(2020)に奈良市史料保存館にて公開されました。その後奈良大学美術史研究室(担当大河内智之准教授)が引き継いで図面や写真等の整理作業を行っています。
 本展ではこれら資料から太田古朴の代表的な仏像修理と研究の事例を紹介し、その学術的意義を再評価するとともに、古朴が依頼を受けて昭和52年(1977)に調査と仏像修理を行った和歌山県高野町細川地区の文化財を紹介します。なかでも細川八坂神社の仮面群は、室町時代前期に遡る一具同作の翁系面4面(翁・三番叟・父尉・延命冠者)を含む重要なもので、今回が初公開となります。
 太田古朴は大学や行政機関に属さず、在野の立場で仏像を愛好し、その魅力を発信し続けました。それは地域の埋もれた文化財にまなざしを向け、その価値を所蔵者や愛好家に伝え、そのことで文化財の継承につなげていったものと評価できます。この企画展が、専門家のみならず、誰もが文化財を身近なものとして関心を持ち、継承する人々を支え、そして伝えていく、これからの文化財保護のあるべきかたちを考える機会となりましたら幸いです。

令和6年(2024)5月27日(月)~7月27日(土)

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当館は奈良大学が収集した学術資料の公開施設として、また学内共同の教育研究施設として2007年に開館しました。
源氏物語色紙や蕪村書簡、勢多唐巴詩板木など、約5000点の美術・考古・歴史・民族資料を収蔵し、年3回、企画展を開催しています。

アクセス

〒631-0803 奈良県奈良市山陵町1500