美し記

奈良大学

史学科

飛鳥・奈良時代における女性の社会的役割について

史学科のグループでは、上記のテーマのもとに、古代の女性に関わる「1. 女性と宮廷祭祀」「2. 女官と采女」「3. 平安時代の天皇とその母」のような課題について、調べている。現段階では、まだその成果をまとめる段階に至っていないので、以下では、「美し記」全体の課題に関わる点として、古代女官の衣装についてのみ紹介する。

史学科は奈良時代を担当しましたが、奈良時代の絵画資料はほとんど現存していません。そんな中、拠り所としたのは、正倉院に伝わる「鳥毛立女屏風」です。
「鳥毛立女屏風」は聖武天皇が大切にしていた樹下美人図で、現在は正倉院の代表的な宝物として有名です。
着衣などは剥げ落ちてしまっているものの、顔の様子はある程度読み取れるので、「美し記」の映像制作にあたっては、この女性の化粧を参考に作っていくことにしました。

特徴的なのは、眉。目尻は太く、目頭にかけて細くなっていく三日月状の眉で色もはっきりとした黒で濃く描かれています。
顔には白粉が塗られていて、現代で言うチークが濃く塗られています。頬全体に、広範囲にチークが塗られているのも特徴的で、口にはこちらも濃い紅が塗られていることがわかります。

また眉間や唇の外側に点を付けているのがわかります。
これは、花鈿(かでん)と呼ばれるピンポイントメイクで、これらの化粧は唐で大流行したもので、顔を全体的に赤くすることで愛嬌を増させ寵愛を求めたらしいです。
花鈿(かでん)については、「鳥毛立女屏風」では緑や黒の点になっていますが、文献を調べると赤色で花の模様などを描くこともあったようです。

髪型については、「鳥毛立女屏風」で描かれている髪型よりも、この時代でしか見られない特徴的な髪型がいいと考え、薬師寺の「吉祥天像」をモデルとすることにしました。

よく見ると頭に髷(まげ)が作られ、根本を束にして残りの毛先を巻き付けた状態になっています。当時の貴族階級の女性が行っていた髪型で宝髻(ほうけい)というらしいのですが、当時の仏像等でもよく見られる髪型で、他の時代ではお目にかかれない髪型なので「美し記」でもこの髪型を再現することにしました。

養老衣服令という当時の法律には礼服の規定が書かれています。

定められていた礼服を参考にすることにしました。
令文には、以下の記載があります。
『衣服令』内親王条
「一品の礼服は宝髻。四品以上は、品毎に各別制有り。深紫の衣。
蘇芳深紫の紕帯。浅緑の褶。蘇芳深浅紫緑の纈の裙。錦の襪。緑の舃。飾るに金銀を以てす。」

衣は、袖の大きい衣。紕帯は、長い飾り帯。褶と裙は、腰に巻く裳。
襪は、靴下。舃は、靴。それぞれ官位身分によって服の色は決められていた時代でした。
映像では高い位の服色は用いず、奈良大学で所有しているレプリカの衣装等を活用して再現することにしました。

奈良時代は政治制度だけでなく、文化面でも当時先進的であった唐の多大な影響を受けた時代であったことから、メイクも髪型も衣装も唐での流行をベースに作られています。他の時代とは一線を画す華やかさ、色使いの鮮やかさがが印象的だと思います。

プロジェクトメンバー

  • 大村 彩乃(オオムラ アヤノ)
  • 六鹿 宏美(ムシカ ヒロミ)
  • 久住 駿介(クスミ シュンスケ)
  • 増田 光希(マスダ ミツキ)