トピックス 授業紹介

研究室紹介:現代社会学科

異文化圏に身を置くことで見えてくるもの。

現代社会学科 松川恭子 講師

インド、ゴアの多言語社会が研究フィールド

 「文化人類学は、自分が属している社会とは異なる文化を持つ社会を調べる学問です。だから、海外へ行き、現地の社会に入っていくことが前提になります」

 松川先生が選んだ異文化圏はインド西部のゴア州。日本にキリスト教をもたらした宣教師フランシスコ・ザビエルの墓があり、観光地としても注目されつつあるが、さまざまな言葉を使用する人が住む多言語社会だ。

 「インドの独立は1947年でしたが、ゴアは61年までポルトガル領でした。その影響もあって、キリスト教徒が多いのです。言語は、ポルトガル語、英語、それに現地語であるコーンクニー語、マラーティ語。キリスト教徒の年配者はポルトガル語、ヒンドゥー教徒はマラーティ語を使用する人が多いのですが、書き言葉と話し言葉でも状況が違います。現地で最も一般的なコーンクニー語は、ようやく書き言葉に置き換えられつつあるところです。こういう社会に身を置いてみると、日本のような単一言語国家のほうが『普通じゃない』と思えてきます。

 「2000年4月〜2001年9月のロングステイを契機として、先生はほぼ毎年ゴアで調査を行っている。現地にはキリスト教徒の「ゴアお父さん、お母さん」がいて、調査活動をサポートしてくれる。先生はここで現地の人々と侵食を共にし、教会のミサに参加したり、神父に話を聞いたりする。また、ヒンドゥー教など異なる宗教・言語の社会にも入っていって、社会の成り立ちや人々の生活、行動を取材する。こうした調査をほぼ毎年続けることで、ゴア地域の複雑な社会構造や人々の暮らしが見えてき始めた。言葉で言えば簡単だが、冬でも平均気温が35度近い酷暑の地で、現地の生活に溶け込むのは、並大抵のことではない。一見、おっとりした印象の松川先生だが、芯の強さは相当なものだ。

日本にいながらでも文化人類学的なものの見方は養える

 さて、異文化圏に身を置くことで、自分たちの文化圏も相対的に見つめることができるようになる。そして新しい自分を発見することができる。

 「確かに、人間観察の目が鋭くなったように思います。また、自分の社会での位置が見えてきました。大学の授業でも、その視点を生かそうとしています。2年生の授業では『日本の中のインドを探す』というテーマでフィールドワークをしています。カレーやヨガなど街に出て見られるインド的なものを調べることで、視点を変えて物を見る目を養っています。さらにこれからの3年生のゼミでは、大学の周辺を歩いて色々な発見をし、地域から情報発信しようと考えています。普段見慣れたつもりのキャンパス周辺でも、歩いてみれば、全く知らなかったことや、その地域だけの特色が見えてきます。その発見をまとめて、発表するのです。視点を変えれば、日本にいながらでも文化人類学的なものの見方を養うことができます。学生の皆さんには、物を見て、書いて、話して、情報発信できる力を身に付けていただきたいと思っています」
(「研究室」2007年大学案内p44より抜粋)

奈良大学社会学部

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