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心理学科のゲートキーパーグループが
青垣祭で自殺予防のワークショップ(啓発活動)を展開


社会学部心理学科 3年 佐々木 稜 さん (大分県出身)


 青垣祭では、自殺予防に関する5つのテーマについて調査した内容をパネル展示しました。
 私の班は、これまで自殺可能性を察知するための尺度が、今の若者(特に大学生)の現状に合っているのかを調べるため、キャンパス内で大学生へのインタビューを実施しました。自殺に関する忌避的な態度から身近な人の可能性までさまざまな意見を聞くことができ、とても貴重で有意義な経験になりました。
 ゲートキーパー活動を知るまでは、自殺予防は医者やカウンセラーなどの専門家にしかできないことだと思っていました。けれど、「死にたい」ほど苦しむ人にとっての援助者は家族や友達など周囲の人であり、身近な人が連携して支援する、という活動の根本の考え方を知り、「支え合うことで心が開かれる」という部分に共感しました。 そして、「死にたい」と言われた時、「きっと楽しいことがあるよ」と言ったり、そのことに触れないようにすることが正しいと思っていましたが、それは間違った思い込みで、「どうしてそう思うの?」と本人の話に耳を傾ける必要があると知りました。 青垣祭でのワークショップをでは、ゲートキーパーの輪を広げるだけでなく、正しい知識を広めるという意義があったと思います。誰もが当事者であり、たすけを求められた自分こそが可能性へのゲートだ、ということを一人ひとりが考えてほしいと思っています。

社会学部心理学科 3年 鈴木 智尋 さん (神奈川県出身)


 日本は若者の死因順位第1位が自殺という異常な状況にあり、自殺は私たちにとって身近な問題といえます。今回の活動で、私達の班は自殺に関する都市伝説について調査をしました。その結果、「死にたいと言っている人は死なない」や「死にたいと言っている人はかまってほしいだけ」といった偏見や誤認識が数多く存在していること、人々は自殺について忌避的な態度であることを再認識しました。 歪んだ常識の所在を明らかにし、死にたい気持ちのリアルを共有する必要を感じ、まずは学内から、自殺予防の知識を普及させるための活動をしていきたいと思いました。
 ゲートキーパーには、気づき、傾聴、声かけ、つなぎ、見守りの5つの役割があります。私は特に気づきとつなぎが大切だと思っています。”気づく”ことは思いやりをもつことであり、人に関心を持ってもらえれば、とどまる人もいると思います。そして、死にたい深刻な思いは、たすけを求められた私たちから専門家に”つなぐ”ことはできます。 太田ゼミが行った調査では、友達にカウンセリングを勧められたら、75%の人が受けてみようと思うと答えているという結果が出ています。私達だから救える、信頼して話してもらえた私だから救える命がある、ということを知ってもらいたいです。

社会学部心理学科 太田 仁 教授 (社会心理学)


 心理学科のゲートキーパーグループ「Again」には、その名の通り何度でもアプローチして命をつなごうという意思が込められています。この活動の特性は、単なる自殺予防に関する既存の情報の紹介活動にとどまらず、実際に大学生を対象とした調査に基づく開発的な展開にあります。今を生きる大学生のリアルな苦しみをさまざまな角度の調査から明らかにして援助への手がかりをつかむことを目指しています。 これまでの政府の調査等では経済的な問題で思い詰めるのは成人だけとされていましたが、今回の調査では、男子学生は経済的困窮で自暴自棄になり、女子学生は非社会的になることが、分析により明らかになりました。さらに、過去にいじめ等の耐え難い心傷体験のある人は、挨拶や感謝・謝罪の言葉すら口にしにくいことが判りました。この成果は若者の苦しみの一端を明らかにしたにすぎません。 今後も、調査過程での協力も啓蒙活動であるとの指針を大切にし、活動を展開したいと考えています。

~青垣祭での各班の取り組みテーマ~ 

1班(班長:野中絵美子)「自殺予防の取組」これで本当に救われるの?
2班(班長:藤井 佑佳)「自殺予防の対人関係理論」絶望から救えるのは寄り添う覚悟から!
3班(班長:鈴木 智尋)「自殺予防に関する都市伝説・偏見」死にたいって言っている人は・・・
4班(班長:保田 華奈)「若者の自殺現状」日本の若者の死因1位が自殺って・・いつからなの!?
5班(班長:佐々木 稜)「若者が自殺に傾く時」若者の自殺に傾く気持ちは見えにくい・・。
監修・指導教員 奈良大学社会学部心理学科 教授・社会学博士 太田 仁

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