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2019/10/26

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社会学部心理学科の宮島健講師が、日本グループ・ダイナミックス学会2018年度優秀論文賞を受賞

   社会学部心理学科の宮島 健(みやじま たける)講師が、社会心理学を中心とした集団力学(グループ・ダイナミックス)の学会である日本グループ・ダイナミックス学会の2018年度優秀論文賞を受賞しました。論文題目は「印象管理戦略としての偽りの実効化:多元的無知のプロセスにおける社会的機能」です。

   この賞は、同学会の学会誌である「実験社会心理学研究」に2018年度(第58巻)に掲載された論文全ての中から、学会理事・編集委員の投票および審査によって選ばれた論文に贈られるものです。2019年10月19日に行われた日本グループ・ダイナミックス学会第66回大会総会において発表・表彰されました。

宮島講師のコメント:

   この度はこのような名誉ある賞を賜り、大変うれしく思います。

   本研究は、日本の男性による育児休業の取得率が低迷している現状の背景に、「多くの人々は男性による育休の取得を好ましく評価していながらも、世間一般の人々は反対に男性の育児休業に対して否定的なのだろう」という集合的な思い込み(多元的無知)が生じていることを指摘したうえで、そうした誤った思い込みに陥っている人々が、育休の取得を希望する男性に対する嫌がらせや非難(パタニティハラスメント)を行ってしまうのはなぜなのかを検討したものです。

   分析の結果、育休の取得をしようとする男性を好意的にみなすことが、周囲の他者から否定的に評価されてしまうことを恐れ、自身の対外的な印象を守るために育休取得希望者を非難してしまう、という心理的過程が存在することが明らかになりました。この結果は、パタニティハラスメントは必ずしも男性による育休取得を好ましく思わない人々のみによってなされるわけではなく、男性による育休取得を好ましく思っていながらも、他者からの否定的評価を回避するために他者の考えに合わせた(つもりの)行動の結果としても生じている可能性を示唆しています。

   本研究成果が、日本の男性による育休取得率を向上させる方略を導出するうえで、役立つ知見として貢献できれば幸いです。

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