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2018/06/28
ニュース
寺崎保広研究室(日本古代史)NEWS(アーカイブ)の第三十四弾「卒業おめでとう!」を紹介します。
卒業おめでとう!
3月18日に卒業式が行われます。今年の4回生とは随分とあちこちに出かけたり、また、よく飲んだなあという印象があります。そこで例年の「卒業生に贈る言葉」にかえて、酒に関わる短歌を紹介することにしました。
万葉集で酒といえば大伴旅人の「酒を讃(ほ)むる歌十三首」が有名なので、まずはそれから2首。
なかなかに 人とあらずは 酒壺に 成りにてしかも 酒に染(し)みなむ
(なまじっか人間でいるよりは、酒壺になってしまいたい。そして酒にどっぷりと浸かろう)
価(あたい)なき 宝といふとも 一杯(ひとつき)の 濁(にご)れる酒に あにまさめやも
(値の付けられない貴重な宝も、一杯のドブロクにまさることがあろうか)
次は江戸時代の良寛さんの2首を。
さすたけの 君がすすむる うま酒に われ酔ひにけり そのうま酒に
(以下、訳は省略。「さすたけの」は「君」にかかる枕詞。この頃、良寛は新潟に隠棲していたので、地酒かしら?)
寒くなりぬ いまは螢も 光なし 黄金(こがね)の水を たれか賜はむ
(黄金の水=酒のこと。寒い冬は酒が一番)
そして近代ではやはり若山牧水でしょうね。
かんがへて 飲み始めたる 一合の 二合の酒の 夏の夕暮れ
(「一合のつもりが、つい二合になり…」こういう酒飲みの気持ちがわかる嫁さんはいいなあ)
白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり
(白玉=酒のこと。牧水にかかれば夏も秋も…)
結構いい歌があるものでしょう?卒業しても楽しかった学生生活を思い出し、また、新しい社会で友人を作り酒を酌み交わし、有意義な人生を歩んでください。
皆さんの船出に、幸多かれと祈ります。乾杯!
(「研究室NEWS」2017年3月)